2024年8月23日に公開した映画「ラストマイル」を観てきました。
その感想と考察を記載したいと思います。
2024年9月28日追記
もう1度観てきて、少し考察などを追記しました。
目次
ラストマイルとは?
ラストマイルは2018年のドラマ「アンナチュラル」と、2020年のドラマ「MIU 404」と同じ世界線で描かれた新しいストーリーになります。
今回は物流業界が舞台であり、運ばれた荷物が爆発するという事件が発生します。
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、
チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。
誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?
決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?
引用元: 映画「ラストマイル」公式サイト
"決して止めることのできない現代社会の生命線" とあるように、荷物が爆発したら怖いけれど、必要な荷物が運ばれないと困るという…難しい状況ですね。
アンナチュラルやMIUと同様に色々と考えさせられる映画でした。
映画を観る前にアンナチュラルとMIU404は観るべき?
観なくてもストーリーは理解できると思いますが、観た方が絶対に楽しめます!!
登場人物も多いので、ドラマで覚えておくと内容も入ってきやすいかなと思います。
現在だとAmazon Prime VideoでアンナチュラルもMIU404も全話観れますので、是非そちらも観てください。
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「アンナチュラル」は法医学をテーマにしたドラマで、不自然死究明研究所(UDIラボ)を舞台に、法医解剖医たちが難解な死因を究明するストーリーとなっています。
「MIU 404」は、警視庁の第4機動捜査隊を舞台にしたドラマで、24時間のタイムリミットの中で事件解決を目指すストーリーとなっています。
この2つの作品は同じ制作陣によって作られており、どちらも基本的に1話完結で面白いドラマとなっています。
世界線が同じなだけで、アンナチュラルの続編がMIU 404というわけではありません。
MIU 404にアンナチュラルのメンバーがちょっと出てくる場面もありますので、是非、両方の作品を観ていただきたいです。
ラストマイルの感想と考察 ※ネタバレあり※
爆発事件を調査していると、「山崎佑」という人物が容疑者の候補として名前が挙がります。
警察は彼を犯人として考え、行方を追っていましたが、山崎は5年も意識不明の状態であり、今回の爆発事件を起こすのは不可能でした。
山崎はDAIRY FASTで働いていましたが、かなり精神的に追い詰められていた状態でした。
そして、ブラックフライデーの前日にロジスティクスセンターのベルトコンベアの上に飛び降りて自殺を図りました。
幸い命は助かりましたが、5年間意識不明という状態になりました。
ロッカーの「2.7m/s 70kg → 0」
山崎は自分のロッカーに「2.7m/s 70kg → 0」という文字を書いていました。
2.7m/s はベルトコンベアの速度、70kgはベルトコンベアの耐久重量、それを 0(ゼロ)にするということ。
つまり、ベルトコンベアを止めて、稼働率を 0%にしたかったのだと考えられます。
映画の中でも稼働率を70%以上にキープしろ!というセリフがあったぐらい、稼働率を重視していました。
その描写から、稼働率重視で働いている人のことはあまり考えていなかったのかなと思います。
しかし、、、
山崎が飛び降りた後、一時的にベルトコンベアは止まりましたが、すぐに元通りに動き出しました。
山崎は消えゆく意識の中でベルトコンベアが動き出す様子を見ており、病院に運ばれた後、「馬鹿なことをした」と言っていました。
このセリフは自分が飛び降りてもベルトコンベアは止まらなかったからだと思います。
残酷だけど実際に起こるとこうなるだろうな、というリアルなシーンが描かれています。
色々と考えさせられますね…
稼働率にこだわっていたが、ついにサービスを止める
エレナはロッカーの文字を見て、すぐに意味を理解して涙を流しました。
その後、ベルトコンベアを止めて稼働率は0%になりました。
個人的に、あのロッカーの意味がわかったからこそ、山崎の希望を叶えるために、償うためにエレナはベルトコンベアを止めたんじゃないかなと思ってます。
2024年9月28日追記
1回目映画を観たときは山崎の願いを叶えるためにサービスを止めたと考えましたが、2回目だと、罪を償うために止めたと捉える方が自然ではないかと思いました。
犯人は山崎佑の自殺に対して「世界が贖ってくれるのか?」と問いかけます。
贖う(あがなう)は罪を償うということで、状況からして山崎佑は会社によって精神的に追い詰められていたと考えられます。
エレナはサービスを止めることで山崎を自殺に追い込んだ会社の罪を償ったのではないかと考えられます。
梨本がロッカーの意味に気づく
エレナがロッカーの文字を見ていても、梨本は涙を流しませんでした。
何となく気づいていなかったように私は見えました。
しかし、エレナがセンター長の座を梨本に渡した後、ロッカーを見て驚いている描写がありました。
今までは気づかなかったが、センター長になってから稼働率など、見え方が変化してロッカーの文字の意味がわかるようになったんじゃないかと考えています。
泣き言を言うぐらいならやめれば?の真の意味
エレナは会社の利益を常に考えており、物流を止めないことを考えていました。
運送会社である羊急便の八木(阿部サダヲさん)局長に対して、けっこう強めな態度をとっているような印象を受けました。
羊急便の配送もパンクしている状況でエレナは荷物を運ぶように八木局長に要求します。
もちろん、そんなことは無理だと返しますが、エレナは涙目で「泣き言を言うぐらいならやめれば?」と八木局長に言い放ちます。
恐らく、運送会社のひどい状況を見て、そんな中でも我慢して真面目に無理して働き続ける姿が過去の自分と重なったからではないかと考えています。
勤勉で真面目で無理をして体調を崩した過去のエレナと今の八木局長が重なって見え、エレナは過去の自分に対しても「泣き言を言うぐらいならやめれば?」と言ったのではないでしょうか。
個人的にこの言い方はきついという印象を受けつつも、泣き言を言うぐらい "限界なら" やめれば?というメッセージだと捉えています。
まとめ
アンナチュラルやMIUと同様に、ラストマイルも社会問題をテーマにした感じでしたね。
物流サービスは今はなくてはならない存在で、ネットで手軽に注文できて、それがすぐに届くのが当たり前の世界…
その裏では低い給料、長時間労働、人手不足…今まさに起こっている社会問題を取り上げた映画でした。
DAIRY FASTで掲げている「全てはお客様のために」はマジックワードであり、実際は「全てはお客様の "欲望" のために」というエレナの発言は印象的です。
そして、物流業界もそうですが、サービス業などすべての人に感謝ですね。本当にありがとうございます。
是非、たくさんの方に観ていただきたい映画です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。